上野 洋路

北太平洋西部亜寒域における海洋中規模渦の物質循環・低次生態系への影響の解明

研究概要

北太平洋亜寒帯域は、生物生産が高く、水産資源が豊富で、世界でも有数の漁場を形成しています。生物生産は特に沿岸域で高く、外洋域では相対的に低くなっていますが、海洋中規模渦(直径数百km、大気の高気圧・低気圧に相当)が沿岸と外洋、表層と亜表層の海水を水平、鉛直方向に混合することで外洋にも高生産域が広がっていることが指摘されています(図1)。しかし、その研究の多くは東部海域のアラスカ湾に限られており、我が国に隣接する西部亜寒帯域における渦の生物生産・低次生態系への影響は明らかになっていませんでした。そこで本研究では、アリューシャン列島南岸で形成され(またはアラスカ湾で形成され、西方伝播してアリューシャン列島南岸に到達し)、北太平洋西部亜寒外洋域を南西に伝播、同海域の水平、鉛直混合に重要な役割を果たすと考えられている海洋中規模渦に注目した研究を実施します。本研究を進めることで、同渦が北太平洋西部亜寒域における生産を左右する栄養物質の循環および低次生態系への影響を理解することを目的としています。海洋中規模渦をターゲットとした、船舶(北海道大学水産学部附属練習船おしょろ丸、図1)による鉛直混合から物質循環を介した低次生態系の詳細な観測と、長期にわたって得られている衛星海面高度データの解析を組み合わせることで、海洋中規模渦が西部亜寒帯域の生態系の長期変動にどのような影響を与えているかを定量的に把握したいと考えています。

図2.北海道大学附属練習船おしょろ丸

図2.北海道大学附属練習船おしょろ丸

図1.海洋中規模渦が海洋生態系に与える影響の一例(色:純一次生産(赤:高い)線:海面高度)

図1.海洋中規模渦が海洋生態系に与える影響の一例(色:純一次生産(赤:高い)線:海面高度)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


上野洋路
研究代表者:

上野 洋路(北海道大学 大学院水産科学研究院・准教授・海洋物理学)

http://www2.fish.hokudai.ac.jp/modules/labo/content0099.html

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図3上野

 

研究協力者:

山口 篤(北海道大学 大学院水産科学研究院・准教授・生物海洋学)

http://researchmap.jp/read0115566/

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齋藤 類 愛媛大学沿岸環境科学研究センター 海洋物理学 研究員

石山宙夢 北海道大学 環境科学院  海洋物理学 大学院生

 以下の4名は、OMIXウェブサイトに情報や写真が載っております。

西岡 純:A02-3班 代表者

平譯 亨:A02-3班 分担者

原田 尚美:A03-5班 代表者

藤木 徹一:A03-5班 分担者