研究概要
黒潮源流域における近年の流況観測結果は、黒潮が陸棚に接近して流れる時、水平流速鉛直勾配に著しい帯状構造が観測される事を示し、近慣性内部波がこの海域表層の混合に寄与する可能性が指摘されている。しかし、黒潮源流域における乱流の直接的な観測は余り実施されておらず、実際にどの様なメカニズムで、どの程度の鉛直混合が発生しているかは不明である。そこで、本研究では、黒潮が陸棚に接近する事でバランスを崩して近慣性内部波を生成しているという仮説を検証する為に、研究期間内に、黒潮の源流域における、準自由落下曳航式微細構造観測装置を用いた現場観測と、水平高解像度数値実験を行い、 (1)どの程度の黒潮のエネルギーが近慣性内部波へ転換されるのか、(2)近慣性内部波のエネルギーの内、どの程度が乱流散逸や海水混合に消費されるのか、(3)混合によってどの程度の栄養塩供給があるのかに関して、そのメカニズムを明らかにし、定量する事を目的とする。
研究代表者:
長井健容
東京海洋大学海洋環境学部門 助教 海洋物理学
http://www.takeyoshi.net
連携研究者:
井上龍一郎
海洋研究開発機構 主任研究員 海洋物理学
連携研究者:
中村啓彦
鹿児島大学水産学部 准教授 海洋物理学